統合失調症で障害基礎年金1級 40代女性のケース
初診の病名が「腹痛」であったため、障害年金の請求が困難の可能性
現在は40代であるが、発病当初は10代であった。
高校のクラスになじめず、登校しようとすると起こる腹痛のために不登校になっていた。
その後、転院を何度も繰り返し、自律神経失調症、うつ病、発達障害、統合失調症等、病名が何度も変わった。
これまで薬の大量服薬等何度も自殺未遂をし、入退院を繰り返していた。
障害年金を請求したいと考えた30代半ばの頃、自分で高校時代に通っていた医院に出向き、受診状況等証明書(初診日証明)を書いてもらったところ、病名が「腹痛」と書かれ不信感を募らせてカルテ開示をした。
そのカルテと受診状況等証明書を持って社労士に依頼したが、受診状況等証明書の病名が腹痛である点、完全に引きこもりになり病院を受診していない時期が5年以上あった点から、請求できないと言われてしまった。
社労士の説明によると、初診の「腹痛」と現在の「統合失調症」とは因果関係が認められないだろう、また、受診していない期間5年で、治癒したものと捉えられ、初診は受診再開後とされるだろう。
そうなると、年金保険料の納付要件を満たすことができないとのことであった。
しかし40代となり、統合失調症の症状が悪化、隣家から監視されているといった注察妄想から警察を呼ぶ等トラブルを起こし、再度障害年金を請求できないものか考えた。
この女性のケースのポイント
- 20歳以降の国民年金保険料は納付していない
障害年金の受給には国民年金か厚生年金への加入が原則
※20歳になる前に障害を持った場合は支給対象 - 高校時代に通っていた医院での診断名は「腹痛」
腹痛は障害年金の対象外
- 受診していない期間が5年以上ある
全てのカルテを熟読し、20歳前に統合失調症になったことを証明
20歳以降の国民年金保険料を納付していないため、20歳前の障害であることを証明しなければならなかった。
さらに「腹痛」という病名の受診状況等証明書で現在の統合失調症の初診であることを証明しなければならない。
そこで、開示されたカルテ全てを熟読したところ、カウンセリング記録、処方していた薬等が記載されており、処方されていた薬から抗精神薬が見つかった。
これにより「腹痛」の受診状況等証明書で統合失調症の初診を証明することができる可能性が高まった。
また、受診していない期間5年については、引きこもりとなっており受診することすらままならない状態であった旨を実際のエピソードを交えながら詳細に受診状況等証明書に記載した。
総括
障害年金を受給するための条件をネットなどで調べることができても、カルテの分析や必要な書類作成はできなかっただろうと思います。
障害年金の申請は3回のチャンスがありますが、1度目に失敗すると、2回目以降に結果が変わる確率は14.7%です。