統合失調症です。生活保護と障害年金の意味合いの違いを教えてください。
阿部 久美が答えるQ&A
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4年ほど前、18歳で浪人している時に統合失調症を発病しました。
親とは確執があり、一緒に住めないので一人暮らしをし、就労も難しいため生活保護を受給しています。病院の精神保健福祉士さんから「障害年金を請求してみたら」と言われるのですが、どちらも現金給付でありどう違うかが良くわかりません。
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本回答は2020年11月現在のものです。
生活保護は、
生活困窮者に健康で文化的な最低限度の生活を保障する制度ですので、
その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、
その最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。
働いていたり、家や車を所有している場合などは、
もらえない場合があります。
一方、障害年金は、
原則として年金保険料の納付を前提とする制度となっており、
「保険料を払ったから保険給付を受けられる」という点では
民間保険と近い制度になっています。
そのため、原則として資産要件は設けられておらず、
働いていても受給できる場合があります。
統合失調症の場合でも、治癒に至ったり軽度の障害を残すのみなど、
予後が良好で、社会復帰が果たせる場合もあります。
生活保護費を受給中の方が就労した場合は、
保護費は支給停止となりますが、
障害年金であれば、必ずしも支給停止になるとは限りません。
仕事をしながら障害年金を受給できる場合があることは、
メリットのひとつといえるでしょう。
他に障害年金のメリットとしては、以下が考えられます。
障害年金のメリット
- 直接の現金給付となるので、経済的な大きな援助
- 生活保護のような福祉・手当ではないので、資産などの制約は原則としてない
- 国民年金保険料が払えない場合は、免除制度を利用することが可能
- 20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金は保険料の納付要件が問われない
- 原則として、どの人でも同じ条件のもと、一律で同じ保障を受けられる、等
障害年金の年金額(令和2年4月分から)
- 障害基礎年金1級…年977,125円
- 障害基礎年金2級…年781,700円
- 障害厚生年金1級…年977,125円+報酬比例の年金額×1.25
- 障害厚生年金2級…年781,700円+報酬比例の年金額
- 障害厚生年金3級…報酬比例の年金額(最低保証額586,300円)
※障害基礎年金の受給権者に加算対象となる子がいる場合、子の加算を受けることができます。
※障害厚生年金1級、2級の受給権者に加算対象となる配偶者がいる場合、配偶者の加給年金を受けることができます。
※加算額は一人につき224,900円、子は3人目からは75,000円なお、障害年金と生活保護を二重に受給することはできませんので、ご注意ください。
生活保護と障害年金の関係
生活保護と障害年金の両方の受給権を得られた場合、
障害年金は満額支給され、生活保護費の方が調整を受けることとなります。
生活保護と障害年金は以下のような関係になります。
- 最低生活費>障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は障害年金との差額分が支給されます。
- 最低生活費<障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は支給されません。
以下の認定基準などを参考に、障害年金の請求をご検討ください。
統合失調症の認定について
統合失調症は、罹患後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、
また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもあります。
したがって、統合失調症として認定を行うものに対しては、
発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮するものとされています。
統合失調症の認定基準
- 1級…高度の残遺状態又は高度の病状があるため高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
- 2級…残遺状態又は病状があるため人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
障害年金の申請について
ご自身で書類をしっかり準備したつもりが、症状に合った等級が認められないケースや、不支給となるケースが見受けられます。
このようなことを防ぐためには専門知識が必要となりますが、そうなると社労士に相談するか関連書籍を参照しなければなりません。
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社労士への依頼も合わせてご検討ください
審査を受ける機会は、1回の申請につき不服申立て(審査請求、再審査請求)を含めて3回です。
しかし、最初の審査で認められない場合、2度目以降の不服申立てで決定が覆るのは、たった15%足らずとなっています。
より確実に認定を得るために社労士に申請を代行依頼する方法があります。
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