骨髄異形成症候群で基礎年金2級が決定した受給例

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骨髄異形成症候群で基礎年金2級 のケース

徳島県の社労士:阿部 久美が担当した骨髄異形成症候群による障害年金の受給事例

血液を作る機能異常への治療としての細胞移植から呼吸器疾患を発症、在宅酸素に。

農業を営む傍ら、海釣りとゴルフが趣味で元気な毎日を送っておられた。
55歳の時、息切れがする、朝起きた時に激しくせき込むという症状を発症し、近くの医院を受診。軽度の肺気腫と極度の貧血を指摘され大学病院を紹介され受診。
大学病院で骨髄検査の結果、骨髄異形成症候群と診断され即日入院。
化学療法と末梢血管細胞移植を実施。
移植後半年後から移植片対宿主病(移植された脊髄細胞が体のあちこちを攻撃する病気)を発症。
入退院を繰り返すうちに動いたときに呼吸が困難になる症状が発症。
急な悪化、入院によるステロイド投与による改善、再び悪化という状況を繰り返し、在宅酸素吸入を開始。

このケースのポイント

  1. 骨髄異形成症候群は血液を作る機能の病気

    この病名自体は障害認定基準の血液・造血器疾患による障害の病名には記載なし

  2. 正常な血液を作れないという点に着目

    白血球系・造血器腫瘍疾患(白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫等)の基準を適用

  3. 末梢血管細胞移植を受けたため検査結果は正常に

    ヘモグロビン濃度、血小板数、正常好中球数、正常リンパ球数は異常とは言えない数値

  4. 移植後半年で移植片対宿主病を発症

    移植の後遺症として上記疾病を発症

  5. 平成29年12月に造血器疾患の障害認定基準改定

    請求の直前に移植片対宿主病についての認定基準が明確に定義された

診断書作成医に移植片対宿主病の発症と症状について詳しく記載をお願い。

造血器疾患でありながら、障害認定日時点でも、請求日時点でも血液検査の検査数値自体は、末梢血管細胞移植を受けられていたため、障害認定基準に該当するほど悪い数値ではなかった。

しかし移植後直後より、移植後後遺症である移植片対宿主病を発症し、低酸素血症、結膜炎、ドライアイ、ドライマウス、肝障害、腎障害、慢性湿疹などの症状がで、更にその後、呼吸不全の症状を発症、在宅酸素療法を必要とするに至った。

請求(平成30年3月)の前年12月に、血液・造血器疾患の障害認定基準が改定され、移植片対宿主病に関する認定基準が明記された。とりわけ肺機能への障害が明確に規定された。

移植後血液検査の結果自体は改善していたため、従来の基準であれば認定は難しかった可能性があるが、請求の直前に認定基準が改定され、移植後後遺症について明確に規定されたため、その点をしっかりと主張する診断書の作成を依頼した結果、障害認定日時点、請求時時点ともに2級の障害基礎年金の認定を得た。

 

総括

障害認定基準は、医学の水準を追いかけて、徐々にではあるが変更されていく。
裁定請求や更新に当たっては、常に最新の障害認定基準を掌握し、その変化の方向に対応した診断書作成を依頼することが重要。

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