老齢年金繰り上げ受給後多系統萎縮症と診断された方からのお問い合わせ。

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老齢年金繰り上げ受給後多系統萎縮症と診断された方からのお問い合わせ。

阿部 久美のブログ

今日は老齢年金繰り上げ受給後、多系統萎縮症と診断された方からのお問い合わせを頂きました。

ご相談者様は現在63歳で、老齢基礎年金を繰り上げ受給されているそうです。

昨年に多系統萎縮症と診断されたそうですが、症状は5年くらい前からあり、ふらつきや転倒があったので脳神経内科や整形外科には通っていたとのことです。

「このような状況で、私は障害基礎年金の申請はできるでしょうか?」というお問い合わせです。

ご相談者様の場合、障害基礎年金の申請をすることは難しいかもしれません。

まず、ご相談者様は現在63歳ですが、老齢基礎年金を繰上げて受給しているとのことですので、障害年金の請求においては、65歳に達したとみなされます。そのため障害年金の事後重症請求ができなくなります。

事後重症請求とは

障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。

 

事後重症請求は困難ですが、制度上は障害認定日請求であれば手続きが可能です。

障害認定日請求とは

障害認定日時点での診断書を取得し、請求することを障害認定日請求といいます。

※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、

  • 初診日から起算して1年6月を経過した日
  • 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)

のいずれか早い日となります。

 

ご相談者様の場合、初診日が5年前であれば、初診日から1年6か月経過した日が障害認定日になります。その時点の診断書を取得することができれば、障害認定日請求は可能です。

しかし、多系統萎縮症と診断されたのは昨年であり、障害認定日の時点で何も診断名が付いていないでしょう。

仮に、障害認定日の時点で多系統萎縮症の疑い、と診断されていたとしても、その時点の障害の状態が、次の認定基準の1級もしくは2級に相当する程度でなければ認定を得ることはできません。

その頃はまだそれほど症状が進んでいなかった場合は、認定を得ることは難しいでしょう。

肢体の障害の認定基準

【1級】

  • 一上肢及び一下肢の用を全く廃したもの
  • 四肢の機能に相当程度の障害を残すもの

【2級】

  • 一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの
  • 四肢に機能障害を残すもの

【3級】

  • 一上肢及び一下肢に機能障害を残すもの

※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、おおむね次の通りとされています。

【手指の機能】

  • つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
  • 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
  • タオルを絞る(水を切れる程度)
  • ひもを結ぶ

【上肢の機能】

  • さじで食事をする
  • 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
  • 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
  • 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
  • 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
  • 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)

【下肢の機能】

  • 片足で立つ
  • 歩く(屋内)
  • 歩く(屋外)
  • 立ち上がる
  • 階段を上る
  • 階段を下りる

 

平衡機能の障害の認定基準

【2級】

  • 閉眼で起立・立位保持が不能又は開眼で直線を歩行中に10メートル以内に転倒あるいは著しくよろめいて歩行を中断せざるを得ない程度のもの

【3級】

  • 閉眼で起立・立位保持が不安定で、開眼で直線を10メートル歩いたとき、多少転倒しそうになったりよろめいたりするがどうにか歩き通す程度のもので、労働能力が明らかに半減しているもの
  • めまいの自覚症状が強く、他覚所見として眼振その他平衡機能検査の結果に明らかな異常所見が認められ、かつ、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもので、症状の固定していないもの

 

なお、障害基礎年金の認定が得られたとしても、老齢基礎年金と併せて受給することはできません。

どちらか有利な方を選択することになります。

これらを踏まえて、障害基礎年金の申請をするか、ご検討されてはいかがでしょうか、とお話ししました。

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