徳島市在住の方から「遡及請求は必ずしなければならないのか?」というお問い合わせ。
阿部 久美のブログ
今日は徳島県にお住まいの方から「遡及請求は必ずしなければならないのか?」というお問い合わせを頂きました。
ご相談者様は25歳の時にパワハラが原因でうつ病になり、軽度の知的障害もあると言われたそうです。
「それからずっと無職で、障害年金のことを知らなかったので、30歳の頃から生活保護を受けていたのですが、最近、市役所の方から障害年金の申請をしてほしいと言われました。遡及請求というものもしてくださいと言われました。私は現在35歳で、遡及請求をすれば30歳の時からの年金がもらえるので、それで保護費を返還してほしいということらしいのですが、遡及請求は絶対しないといけないのでしょうか?」というお問い合わせです。
障害年金の遡及請求は、必ずしなければならないものではありません。
障害年金を請求するか否か、請求をする場合に遡及請求をするか否かは、請求権者が決めることです。
遡及請求はしない、という選択をすることは可能です。
遡及請求(さかのぼって請求すること)とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
ご質問者様の場合、初診日(初めて医療機関を受診した日)は25歳の時ですが、軽度の知的障害もあるとのことですので、障害年金においての初診日は出生日になり、障害認定日は20歳の誕生日になります。
20歳の時点の診断書を取得することができれば遡及請求は可能ですが、ご質問者様の場合、まだ受診をしていないことが拝察されます。そのため、遡及請求そのものをすることができないでしょう。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
20歳前傷病の障害基礎年金とは
先天性の病気などにより20歳前から障害があり、初診日が、20歳前(年金制度に加入していない期間)にあり、かつ、障害の状態が認定基準に該当する場合には、障害基礎年金を受けることができます。
等級は1級と2級があり、障害の程度によって決められます。
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日
20歳前傷病の障害基礎年金の障害認定日は、
- 20歳の誕生日
- 請求する傷病の初診日から起算して1年6か月を経過した日
のいずれか遅い方となります。
ご質問者様の場合、現時点の診断書を取得することができれば、事後重症請求は可能です。
次の認定基準の1級もしくは2級に該当する場合、障害基礎年金の受給が可能となります。
参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか、とお話ししました。
事後重症請求とは
障害認定日に、障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなかった場合でも、その後、状態が悪化し、障害等級に該当する障害の状態となった場合、65歳に達する日の前日までに裁定請求をすることができます。
知的障害の認定基準
- 1級…食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
- 2級…食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
なお、障害年金と生活保護は、双方を満額受けることはできません。
生活保護を受けている場合は、以下の調整を受けることになります。
生活保護と障害年金の関係
生活保護と障害年金の両方の受給権を得られた場合、障害年金は満額支給され、生活保護費の方が調整を受けることとなります。
生活保護と障害年金は以下のような関係になります。
- 最低生活費>障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は障害年金との差額分が支給されます。
- 最低生活費<障害年金の場合、障害年金は満額、最低生活費は支給されません。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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