徳島市在住、知的障害の女性から20歳時点での遡及請求についてのご質問
阿部 久美のブログ

今日は知的障害を持つ女性についてこの女性のお兄様から「ご相談をいただきました。
この男性の妹様は現在45歳で、知的障害B1の療育手帳をお持ちだそうです。
妹様は、昨年お母様が他界してから実家で一人暮らしで、市の福祉サービスを受けておられますが、障害基礎年金の手続きをしていないことが判明し、これから手続きをしようと考えておられるそうです。
役所に問い合わせたところ、事後重症請求はできるが、20歳時点の診断書がなければ遡及は無理と言われたとのことです。
「妹は小学校の時から養護学校に通い、17歳で療育手帳B2の判定を受け、21歳の時にB1の判定を受けていて、その時のIQの記録も残っているのですが、それでも遡及は無理なのでしょうか?」というご質問です。
障害年金の遡及請求をするためには、障害認定日時点の診断書が必要です。
知的障害の方の初診日は出生日、障害認定日は20歳の誕生日ですので、20歳の時点で医療機関を受診し、カルテに基づいて作成された診断書を取得しなければなりません。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内(知的障害の方の場合は、20歳の誕生日の前後3か月以内)の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
ご質問内容に、20歳前後に療育判定を受け、その時のIQの記録も残っているとのことですが、それだけでは遡及請求をすることは難しいでしょう。
なお、事後重症請求は可能ですので、次の認定基準を参考にしていただき、請求をご検討されてはいかがでしょうか、とお話ししました。
知的障害の認定について
知的障害の認定に当たっては、知能指数のみに着眼することなく、日常生活のさまざまな場面における援助の必要度を勘案して総合的に判断されます。
日常生活能力等の判定当たっては、身体的機能および精神的機能を考慮の上、社会的な適応性の程度によって判断されます。
知的障害の認定基準
- 1級…食事や身のまわりのことを行うのに全面的な援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が不可能か著しく困難であるため、日常生活が困難で常時援助を必要とするもの
- 2級…食事や身のまわりのことなどの基本的な行為を行うのに援助が必要であって、かつ、会話による意思の疎通が簡単なものに限られるため、日常生活にあたって援助が必要なもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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