傷病手当金の受給と障害年金請求について。
阿部 久美のブログ
今日は傷病手当金の受給と障害年金請求との関係についてお問い合わせを頂きました。
ご相談者様は、現在不安障害で傷病手当金を受給しておられるとのことです。
「会社はすでに退職しており、しばらくは再就職も考えていません。障害年金の申請を検討しているのですが、傷病手当金が終わってから申請した方がいいのでしょうか。傷病手当金を受給中に障害厚生年金を申請しても、問題はないでしょうか?」というお問い合わせです。
傷病手当金を受給中に、同一傷病について障害厚生年金を請求し受給が決定した場合は、重なっている受給期間分について二重取りができず、併給の調整が行われるため、後から返還を求められます。
しかし受け取れる額が少なくなることはありませんので、傷病手当金を受給中に障害厚生年金を申請しても、問題はないでしょう。
障害厚生年金と傷病手当金の併給調整について
同一傷病について、「障害厚生年金」を受給している期間と傷病手当金を受給している期間が重なっている場合、傷病手当金について減額調整されます。
- 傷病手当金>障害厚生年金の場合、傷病手当金は差額分が支給されます。
- 傷病手当金<障害厚生年金の場合、傷病手当金は支給されません。
なお、ご相談者様の場合、現在は不安障害で傷病手当金を受給しているとのことですが、不安障害は原則として障害年金の対象となっていません。
そのため、障害年金の申請の際、傷病名が不安障害のみの場合は、スムーズに認定を得ることが困難です。
神経症の障害年金での取り扱いについて
不安障害などの神経症にあっては、その症状が長時間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とはなりません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、との趣旨となっております。
ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分障害に準じて取り扱うとされ、例外的に認定の対象となります。
また、障害年金を受給するためには、以下の要件を満たさなければなりません。
傷病名と併せて、以下の要件を満たしているかについて確認しましょう。
初診日要件とは
初診日は、国民年金と厚生年金のどちらに加入していたか、その加入していた制度によって、もらえる年金の種類が決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
※初診日とは…障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
※障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
症状の重さによって等級が分けられています。3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
※ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。
障害認定日要件とは
障害認定日において、一定以上の障害状態にあるかどうかで判断されます。
※障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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