適応障害と障害年金並びに手帳について
阿部 久美のブログ

今日の新聞各紙並びに週刊誌の見出しに、有名女優のKFさんが適応障害の為に芸能活動を休止するという記事が載っていました。
KFさんの一日も早いご回復と芸能界復帰を祈りつつ、今日は、適応障害と障害年金並びに手帳(精神障害者保健福祉手帳)についてお話しします。
適応障害は原則として障害年金の認定の対象とされていません。
そのため、適応障害の傷病名で認定を得ることは、難しくなっています。
適応障害は、日本の障害年金制度が依拠する国際疾病分類(ICD-10)において、神経症に区分されています。
神経症での障害年金申請について
神経症にあっては、日本年金機構の定める障害認定基準において「原則として障害年金の認定の対象としない」とされています。
そのため、適応障害は、原則として認定の対象とされていません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、という趣旨です。
ただし、例外としてその臨床症状から判断して「精神病の病態を示しているもの」については、認定の対象とされていますが、この文言がどのような状態を指すのかは具体的にあらわされておらず、審査請求や再審査請求を通じて判断を求める場合が多くあります。
また、神経症とその他認定の対象となる精神障害が併存している場合も、認定の対象となります。
最近の調査では、強迫性障害では67%、パニック障害では50〜65%、PTSDでは48%の割合でうつ病が併存していることや適応障害の場合には、診断後5年後には40%の人がうつ病等の診断名に変更されされていること、不安症のうち74.9%に双極性障害が、56%にうつ病が、38.3%に統合失調症が並存していることが明らかになってきました。
適応障害での精神障害者保健福祉手帳の申請について
国の基準では、上記のICD−10コードのF00〜F99までとG40が、精神障害者保健福祉手帳の交付対象になります。
したがって、適応障害(F43、F43.2)自体は対象です。
しかし、一般的には適応障害単独の場合(適応障害が「主たる精神障害」であって、「従たる精神障害」欄には何も書かれていない場合)には、手帳が認定されることはきわめて困難です。
というのは、精神障害者保健福祉手帳の制度自体が、過去2年およびこれから2年の「症状の継続性」を前提としているためです(だからこそ、手帳の有効期限が2年となっています)。
つまり、前後2年の間、症状が持続していなければならず、一時的な症状であったり、症状が消えてしまうといったものでは認められません。
逆に言うと症状の継続期間が2年程度であるものを想定しているが故に、上記のように適応障害の診断が5年も継続する場合にはうつ病などに診断名変更されるケースがかなりの割合で出てくるということです。
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