旧共済に残るパターナリズム(家父長的温情主義)の残滓
阿部 久美のブログ

日本の年金制度の嚆矢は明治8年に始まった軍人恩給制度であり、その後明治17年には文官にも拡大し大正12年には現在まで続く「恩給法」が制定されています。
文字通り公の為に尽くした人に対して国家が恩をもって報いるという制度です。
第二次大戦後民間人を対象とする年金制度が創設、発展し平成27年10月には被用者年金一元化ということで公務員を対象とする共済年金制度は厚生年金制度に制度上は統一されました。
しかしながら一元化後も公務員の方々の年金制度の運営は共済組合(連合会)が行っており、その職員の意識の中に、独特のものを感じています。
それは一言で言うとパターナリズム(家父長的温情主義)です。
私がサポートさせて頂いている請求案件で、某県の共済組合年金課から「事務連絡」と称する文書が送られてきました。社員でも職員でもない他者や請求権者に送る文書に「事務連絡」という名称を付けるセンスにまず違和感を感じます。
そしてその文書の中に次のような文言がありました。「障害の認定結果によっては非該当もありますので、請求取り下げとなることもあります」
これには仰天しました。勿論、非該当のケースもあるでしょうがその場合には「却下」なり「不支給」なりの行政処分を行い、請求権者側が納得がいかなければ審査請求という異議申し立てを行うというのがルールです。
共済の世界では「お上」が下した結論に対して、異議申し立てなどは恐れ多いことで、その場合には自ら請求を「取り下げる」のがルールと言わんばかりです。
そしていま一つの事例。これも私が請求をサポートさせて頂いている件で、請求提出後しばらくして、当該共済組合年金課に連絡して審査の進捗状況を確認しました。
返事の冒頭に「ご承知と思いますが決定には通常6か月程度かかります」と言われ、驚きました。
日本年金機構の仕事が早いとは思いませんが、それでも機構は国民年金の請求に対しては3か月以内、厚生年金の請求に対しては3か月半以内に結果を通知すべく努力しますという旨の書面を交付し、実際にその期間で決定連絡ができない場合にはその旨の通知を発送しています。(その通知を「事務連絡」とは名付けていません)
勿論そのことも承知しているでしょうが、当然のことのように「6か月かかる」と言い放つ意識には驚きます。
障害年金の審査は書類審査のみで、介護認定のように認定員が面談に行くというステップはありません。
医師の診断書のみの審査であるにもかかわらず、6か月かかるのが普通という事態は、そもそもこの処理を行う当事者能力に欠けているか、「やがて決定を下してやるから、それまでは黙って待て」という意識が根底にあるかのいずれかとしか考えられません。
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