国民年金障害基礎年金にも3級を。
阿部 久美のブログ

今年もよろしくお願いします。
厚生年金障害給付には1〜3級があります。一方、国民年金の障害基礎年金には1〜2級しかありません。
1〜2級の障害の程度はいずれの場合も同じで、厚生年金加入中に初診のある方が2級以上と認定された場合には、厚生年金障害給付と障害基礎年金の二階建てで受給できます。
3級は厚生年金にのみある級で、3級に認定されると厚生年金のみが支給されますが、584,500円(2級の基礎年金の2/3)という最低保証があります。
この違いは、もともとこの二つの制度が別々の制度であったことに由来しています。
厚生年金は戦前からある被用者年金(公務員や会社員を対象)とする制度にルーツがあり、労働能力がそこなわれることを補填するという趣旨を当初から持っています。
一方で国民年金は、自営業者を対象にして昭和36年4月に開始され、日常生活生活能力がそこなわれることを補填することがその趣旨でした。
その違いが今も生きており、日常生活能力までは損なわれないが、労働能力が元気な頃の半分程度に落ちた場合に、厚生年金障害給付3級のみが支払われるという形になっているのです。
国民皆年金(すべての国民が国民年金に加入することが法的に義務付けられている)であり国民年金加入者の内訳をみると、第1号(自営業者等)約1700万人、第2号(会社員・公務員)約4000万人、第3号(2号の被扶養配偶者)約900万人となっており、第2号のみが厚生年金障害給付3級を受けられる可能性があるのです。
しかし、この区分は時代遅れで合理性を失っていると思います。
それはまず第一に、第1号被保険者の問題です。第1号被保険者とは、制度発足当時は商店や農地、漁船などの生産手段を個人所有し、本人が年をとったり障がいを負ったりしても家族労働で一定の収入を得られる自営業者を対象にしていましたが、今、このような自営業者は限りなく減少し、1号の多くは無職者や非正規就業者であるからです。これらの人々は、障がいを負って働く力が半分に落ちれば、即刻貧困状態におちいる可能性大です。
そして第二に第3号被保険者、即ち第2号被保険者の被扶養配偶者の問題です。この人々は昭和61年の改正までは、国民年金に加入するかどうかは任意で、加入する場合は1号被保険者になりました。これはそれまでの男性の片働き・正規雇用という状態を前提としていた制度ですが、既にその前提も崩れ去ってしまいました。
そして平成19年からは、離婚時に報酬比例部分の年金の分割制度が設けられ、翌年には被扶養者(多くは妻)からの一方的な申請で報酬比例部分を真っ二つに分割することを認めると言う形で、所謂、家事労働の経済的評価を認めてきているのです。
にもかかわらず、専業主婦が障がいを負って、以前のように家事労働が出来なくなっても、何の年金も出ないことに合理性があるのでしょうか?
1つ実例を挙げます。
比較的女性に多い股関節の障害で、人工股関節に置換した場合には、障害認定基準、要領で厚生年金障害給付3級に該当するとされています。
ということは、初診日が厚生年金加入中であれば厚生年金障害給付の請求をし、3級の年金を受給することが可能です。しかし、専業主婦であった時やパートとして働いていた時に初診日がある場合には国民年金の請求となり、2級以上には該当しませんので不支給となります。この違いを社会的公正や公平性の立場から合理的に説明することはできません。
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