障害年金の納付要件と3号特例納付
阿部 久美のブログ

今日は徳島市在住の男性から、障害年金請求の納付要件についてご質問を頂きました。
その方曰く「市役所の年金課に行って障害年金を請求したいと言ったら、納付要件を満たしていないから請求できないと言われた。未納分を遡って納付すれば直前1年間は納付済みとなり納付要件を満たすのではないか」と仰るのです。
お気持ちはわかるのですが、これでは納付要件を満たしたことにはなりません。未納保険料を後から支払う後納は、老齢年金の受給資格の判定や老齢年金額の計算の際にはカウントされます。これは老齢年金は一定の年齢に到達することをきっかけとして支払いが始まりますが、全ての人は等しく年齢を重ね一定の年齢に到達します。その人たちが無年金者とならないように設定されたのが後納制度です。
一方、障害年金は不確実性が高い病気や怪我による障害をきっかけとして支払いが始まります。仮に障害年金にも後納を認めれば、保険料を納めずにいて障害を負った人は皆、後納した上で障害年金を請求できることになります。これを逆選択と言い、きちんと保険料を納めた人との間に著しい不公平が生じ、財政的にも公的年金制度が破綻してしまいます。
民間の自動車保険や、生命保険も保険事故が生じた時に保険料を納めていなければ保険金や給付金が支払われないことと同じです。
障害年金の納付要件は、原則が初診日の属する月の前々月までに保険料を納めるべき期間がある時は、その期間の2/3以上が納付済み若しくは免除期間であること、特則が初診日の属する月の前々月までの1年間に未納期間が無いことです。
後納と同様に、老齢年金では受給資格の認定や年金額の算定に反映されるにもかかわらず、障害年金の納付要件には参入されない届出(納付)があります。
それは3号特例納付と呼ばれるものです。ご承知の通り国民年金2号被保険者(被用者)に生計を維持されている専業主婦は3号被保険者となり、その保険料は2号被保険者が併せて支払っていることとされ、老齢年金の受給資格の認定や年金額の算定には納付済み期間として反映されます。
3号該当の届け出は、現在は、配偶者の勤務先を通じて行うことになっていますが、以前は本人が市役所等に届け出る形になっていました。そのため多くの届け出漏れが生じました。この事態を解消するために3号被保険者の特例納付という制度が設けられました。後からでも、ある時点から3号被保険者であったことを申し出れば、3号被保険者であったとみなされ老齢年金の受給資格の認定や年金額の算定に当たっては保険料納付済み期間と見なされるというものです。
ところが大きな問題が残りました。障害年金の納付要件の認定については3号特例納付の届け出をした以降に初診日がある場合に限り納付済み期間と見なされることになったのです。
つまり結婚して2年目に妻の初診日があり、関連する傷病で障害状態になり障害年金の請求を思い立ちました。ところが加入記録を確認してみると初診日の3年後に3号特例納付の申請をしているのです。
この場合被保険者記録上は初診日時点においては3号特例納付となっています。この期間は老齢年金では評価されますが障害年金の納付要件では未納とされます。届け出が遅れた背景には様々な事情があったのではないかと推察されます。それを一律に納付要件のカウントから除外してしまうのは社会的に問題ではないかと考えています。
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