適応障害で始まりうつを経て現在は双極。遡及請求は可能?
阿部 久美のブログ

今日は、初診時と障害認定日当時、現在でそれぞれ違う病名と診断された女性から、ご相談をいただきました。
この女性の現在の病名は双極性障害ですが、10年前の発症当初は適応障害と診断されたそうです。そして初診から1年6か月後の時はうつ病と診断されていました。
このような場合、障害年金の遡及請求は可能なのでしょうかというご質問です。
初診日から1年6か月経過時点(障害認定日)の診断書を取得することができれば、遡及請求は可能です。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 「初診日」から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
ご質問者様の場合、病名が適応障害、うつ病、双極性障害と変わっているとのことですが、障害年金の申請においては、あらたな疾病が発症したものではなく、診断名の変更として取り扱われることが考えられます。
そのため、それぞれについて別疾病とせず、「同一疾病」として扱われます。
障害認定日の時点ではうつ病、現在は双極性障害で申請することになり、障害認定日請求で認められた場合は、障害認定日の時点の遡って受給権が発生します。
ただし、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅するため、実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
下記の認定基準等を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
双極性障害(うつ病)の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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