訴訟も視野に入れた再審査請求の趣旨と理由【全文】

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訴訟も視野に入れた再審査請求の趣旨と理由【全文】

阿部 久美のブログ

初診日を巡る審査請求が棄却された件です。
訴訟をも視野に入れた争いとします。

【趣旨】前決定を破棄し、即刻厚生年金障害給付、障害基礎年金2級を認定せよ。

 

【理由】

本請求障害の傷病名は、診断書によると慢性心不全、高血圧性心疾患であり傷病の原因または誘因として高血圧症とされている。本人並びに妻も、主治医であり診断書作成医である○○大学医学部付属病院医師より、高血圧が原因であるとの説明を受けている。さらに、高度心機能低下をきたしたためCRT-D埋込手術施行を前提として、それまでかかっていた赤十字病院の紹介で同病院に転院した際、平成29年9月22日〜10月31日の40日間入院し、うち30日は精査を行っているが高血圧以外の要因は特定されなかった。診断書面7にも本態性高血圧と記されている。提出済みの病院、病院の診療録からも、長年継続して、高血圧を原因とする心疾患に苦しめられてきたことは明らかである。保険者は一般的に「慢性心不全」と「高血圧症」に相当因果関係があると認めることはできないというが、一般論はさておき、本件に関しては、上記より請求の原因である慢性心不全、高血圧性心疾患と高血圧症は相当因果関係にあるのは明確であるから高血圧での初診日である平成8年11月19日を本請求の初診日として主張する。

 

冒頭に大阪地裁平成26年7月31日判決より一部抜粋し記述する。
「(初診日の)認定判断を客観的かつ画一的に行うためには、可能な限り、客観性の高い資料によって、初診日が特定されるべきものと解される。しかしながら、厚生年金保険法は、労働者の障害について保険給付を行い、労働者の生活の安定と福祉の向上に寄与することをその目的としているから(同法1条)、支給要件が認められる限りはその裁定をすることがむしろ公平に適うと解される。そして、同法は、本件のような事後重症に基づく給付の場合も「初診日」において被保険者であることを支給要件と定めているところ、疾病によっては、診療を受けてから、事後重症の要件を満たす程度の障害の状態に該当するまで相当期間の経過をたどることもあり得ることからすれば、障害の状態に該当した時点において客観性の高い資料等の保存期間が経過していることも十分想定されるところである。また、事案によっては、震災被害等の為に、被保険者が認定資料を保存しえない場合があり得るところ、そのような場合において、客観性の高い資料等がないとの理由で支給要件の認定が否定されることは同法の目的に反するというべきである。加えて、前期・・・・のとおり、同法33条、101条の委任を受けて定められた厚生年金保険法施行規則規制44条2項6号も、裁定請求に当たって、初診日を明らかにすることができる書類の添付を求めるのみであって、その種類等については特段の限定をしていない。以上によれば、厚生年金保険法47条の2第1項にいう『初診日』の認定に当たっては、できるだけ客観性の高い資料によることが望ましいものの、それがない場合には、その提出がない理由や初診日に関する申請者の申述内容、疾病についての受診の経過、疾病の性質などを総合的に判断して、個別的に認定すべきものであると解するのが相当であって、」
当判例の判旨に沿って以下を主張する。

 

1、平成8年11月19日病院初診については当時のカルテが破棄されており、内容完備した受診状況等証明書が添付できないが、これは請求人の責めに負うものでは全くない。そのような状況の中、病院側と粘り強く交渉した結果、手書きの診察券番号付与簿が保管されていることが判明し、その中に診察券番号を付与した日(初診日と推察される)と請求人氏名が確認できたため、その内容に基づく受診状況等証明書を作成頂き提出している。従って、日付については客観的な裏付けがある。

2、すでに提出済みの病院病歴要約Page1には「35歳頃から高血圧の内服治療を開始され、40歳後半で心不全で病院に入院となった」との記述がある。また、臨床経過記録には平成10年7月14日の血圧測定の結果が記されており、186/120 となっている。

これらはいずれも、障害年金の請求を思い立つ10年以上前の時期に病院において本人の申述並びに計測に基づいて記録されたものであり客観性を有する。

昭和34年11月8日生まれの本人において35歳頃=平成6年当時でありこの時期も、そして既に治療を必要とする程度の高血圧であったことの明らかな平成10年7月も厚生年金に加入中である。

3、さらに今回追加資料として病院診察記録写しを提出する。
【現病歴】欄に「高血圧のコントロール・40歳から内服加療」との記述がある。40歳は平成11年である。時期を平成11年12月末と仮定すると、この時点では国民年金に加入しており納付要件は充足している。また別の個所には「高血圧での治療歴は12年」との記述がある。
この診察記録の作成年月日は2012年3月12日であることから12年前は2000年であり、この時に請求人は41歳である。時期を2000年(平成12年)12月末と仮定すると、この時点では国民年金に加入しており納付要件は充足している。

4、さらに3通の第三者証明書面と、病院の診療録を提出済である。
氏は当時勤務先の○○で請求人と一緒に働いており、請求人から「高血圧と診断され薬を飲み始めた」と聞いたことを記憶している。また、現場での肉体労働を必須とする同社では、健康体であることが絶対条件であるため、入社時には県労働基準協会の指導により県建設業協会支部の斡旋で健康診断を実施している。請求人も当然この健康診断を受診した上で入社が認められていることから、入社時には治療を要するような状態ではなく、入社後平成8年11月19日に至る間に治療を要する高血圧症に罹患したものと考えられる。この間は全て、厚生年金に加入中である。
は近所に住む従弟であり、母親同士が姉妹であったため、よくお互いの家を行き来しており、平成8年末か9年初めごろ、本人から受診と服薬の事実を聞いたことを記憶している。
今一人の氏は請求人のゴルフ仲間であり、平成8年12月に受診と服薬の事実を本人から聞いたと記憶している。当時氏の奥様が股関節の手術で入院し退院したばかりであったことから、聞いた時期の記憶も鮮明である。
5、保険者は意見書の中で「請求傷病の初診日は平成20年8月8日 が相当と思料されるが…なお、初診日を平成20年8月8日とした場合、 納付要件を満たさないことを申し添える」としている点について申し述べる。
請求人は平成11年4月〜平成27年1月までの間、国民年金保険料を全て納付している。その間平成17年4月分以降はおよそ2年遅れで支払っている。即ち納付できず手元にとっておいた納付書で台所事情に応じて2年前の期月の保険料を営々と払い続けている。市役所の国民年金課に問い合わせた所、免除や一部免除などの制度もあるが2年遅れでも全額支払い続けていれば将来の年金は全額もらえるとの説明があったのみであった。
保険者が初診日と思料されるという平成20年8月の前々月(6月)の保険料は平成22年2月26日に支払われておりこの6月には2年前、平成18年5月の保険料が支払われている。これをもって保険者は「納付要件を満たさないと申し添える」のである。納付が滞った平成17年5月〜19年2月、支払い再開した平成19年3月の時点ではすでに請求人は高血圧の治療は開始していた。
市役所に相談した時点で、「老後の年金的には問題はないが障害年金の初診日という点では取り返しのつかない不利益を被る場合もある」という説明がなされ平成19年3月からの保険料を当月分として支払い続けていれば、保険者の言う初診日には直1年条件の納付要件を満たしていたのである。

我々の主張する初診日の証明資料が存在しないことに、請求人の責めは一切ない。

保険者が主張する初診日に納付要件を満たしていないことについても制度の谷間のようなものであり、請求人に帰責すべきことではなく、何より現実に保険料は負担されている。厚生年金保険制度の忌避する射幸性や逆選択性は一切存在しない。
このような請求人を、極めて些末で技術的な理由で救済しないことは、冒頭の大阪地裁判決を引くまでもなく、国民年金法、厚生年金保険法の精神に反すると言わざるを得ない。

司法の判断を待つまでもなく、請求人の早急な救済のために2級の障害年金を早期に認定せよ。

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