昭和34年12月生まれの女性の、老齢年金、障害年金、基本手当
阿部 久美のブログ

今日は今年の12月で61歳を迎える女性から、年金と雇用保険についてのご相談をいただきました。
この女性は昭和34年12月生まれで、12年間会社勤めをされてきました。2年位前から左股関節に違和感を感じるようになりましたが、使い痛みだろうとの自己判断で、診察を受けることもありませんでした。
ところが昨年、違和感から痛みに変わり、歩行や階段の昇降にも支障が出たため整形外科を受診したところ変形股関節症と診断され、人工股関節置換の手術を奨められているそうです。人工股関節置換は厚生年金障害給付3級になるというお話も聞かれ、手術後は是非、請求したいと思われています。
61歳からは老齢年金の一部もらえると聞き、退職して治療に専念されることに決められたそうですが、同時に折角12年間も雇用保険料納めてこられたので、失業給付も申請したいそうです。その場合の老齢年金、障害年金、失業保険(基本手当)の関係がどうなるのかについて、教えてほしいというご相談です。
1、障害年金 人工股関節置換は3級と認定されます。3級は厚生年金にしかない級ですが、この女性は初診日時点では厚生年金加入ですから請求可能です。何時から請求できるかですが、初診日から1年6か月経過した日、若しくはそれ以前に人工股関節を置換した日となります。初診日は昨年ということですので、いずれにしても人工股関節の置換手術を受けられれば、その日以降請求は可能になり、請求の翌月分から3級の厚生年金障害給付が支給されます。
2、老齢年金 特別支給の老齢厚生年金が61歳になった翌月分から支給されますが、年金額は厚生年金加入中に会社と折半でお支払いになった保険料を元に計算されます。さらに会社を辞めて厚生年金の被保険者で無くなり、3級以上の障害状態にある場合には障害者特例と言って、厚生年金加入期間(12年間)に対応する基礎年金相当額、この女性の場合は(781,700円×12/40≒23万円)も上記報酬比例部分に加えて支給されます。
3、失業保険(雇用保険基本手当) 退職日前6か月間に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額(賃金日額)の45%〜80%の日額が、求職申し込み後7日の待期期間、さらに自己都合退職の場合には3か月の支給制限期間の後に、所定給付日数支給されます。
65歳未満は老齢と障害の年金を両方受給することはできず、何れか有利な方を選択し、もう一方は支給停止とします。
ここからがポイントですが、2、特別支給の老齢厚生年金(含む障害者特例)を選択受給した場合、この年金と3、は支給調整があり同時期に両方を受給することはできません。
求職の申し込みをした日の属する月の翌月から所定給付日数を受給し終わる日が属する月まで、特別支給の老齢厚生年金は支給停止されます。基本手当の出ない支給制限期間も、とりあえずは年金も支給停止になりますので年金も基本手当も支給がない期間が生じます。(支給制限期間分の老齢年金は事後清算で後日支給はされます。)
1、の障害年金を選んだ場合、障害年金と失業保険(雇用保険基本手当)の間には調整規定はなく、両方とも全額受け取ることが出来ます。
ここから得られる結論としては
1、先ず早急に厚生年金障害給付の請求のための診断書を作成してもらい、厚生年金障害給付の請求書、特別支給の老齢厚生年金の申込書、障害者特例の申込書、年金選択の申込書を同時に年金事務所に提出する。
(1枚の診断書で障害年金請求と障害者特例請求を兼用できます。)
2、12月の誕生日が来たら、退職届を提出し、ハローワークで休職の申し込みを行う。
3、この時点で、障害年金3級、特別支給の老齢厚生年金障害者特例ともに認定されている場合には、例え特別支給の老齢年金障害者特例の方が金額が多い場合でも、迷わず障害年金を選択受給する。(たとえ金額が多くとも特別支給の老齢厚生年金・障害者特例は支給停止になります。)
4、基本手当を受給し終えた段階で、障害年金と特別支給の老齢厚生年金障害者特例の金額を比較し、後者が多い場合には選択替えをする。
という流れになります。
雇用保険の基本手当受給期間中(求職の申し込みをした後)は、例え支給制限期間中で基本手当が支給されない時期も含めて特別支給の老齢厚生年金(含む障害者特例)は支給停止されてしまうことを肝に銘じておいてください。
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