徳島市在住の男性から、初診日についてのご質問
阿部 久美のブログ

今日は徳島市在住の男性から、初診日についてのご質問をいただきました。
この男性は幼少の頃から身体が弱く、かかりつけの小児科には20歳を過ぎても通っていました。
普通のケガや風邪でも通っていましたが、中学生の時には朝が起きられなくて起立性の障害と言われたり、
高校生の時は学校になじめず、適応障害と言われたりしたそうです。
25歳くらいの時から体調が悪化し、かかりつけの小児科に別の精神科を紹介されて、現在はそこに通っておられ双極性障害と診断されていまるそうです。
今回障害年金をご検討されているとのことですが「初診日は小児科になるのですか?その場合は、いつが初診日になるのですか?」というご質問です。
ご質問内容からは、現在の双極性障害と前傷病の適応障害、
もしくは起立性障害との因果関係の有無が分かりかねるため、
初診日の特定は致しかねますが、それぞれに相当因果関係がある場合は、
小児科で診断されたときが初診日になる可能性が考えられます。
相当因果関係とは
前の疾病または負傷がなかったならば、
後の疾病が起こらなかったであろうと認められる場合は、
相当因果関係ありと見て前後の傷病を同一傷病として取り扱います。
そのため初診日は、前の疾病または負傷について初めて医師等の診療を受けた日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、
初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
例えば、中学生の時に起立性障害と診断されたが、その後改善し、
高校生の時に適応障害と診断され、そのまま双極性障害に傷病名が変更されたケースでは、
適応障害と診断された高校生の時が初診日となるでしょう。
また、適応障害は改善し、その後通常の学校生活を送り、
就職も問題なくしていたところ、25歳くらいから体調が悪化し、
ふたたび小児科を受診し別の精神科を紹介されたケースでは、
25歳の時に小児科を再受診した日が初診日になる可能性も考えられます。
20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件が問われず、
障害の状態が2級以上に該当すると判断された場合、障害基礎年金が支給されます。
また20歳以降に初診日がある場合は、保険料納付要件を満たす必要があり、
国民年金加入期間中であれば、障害基礎年金の請求に、
厚生年金加入期間中であれば、障害厚生年金の請求になります。
障害厚生年金の請求であれば、3級以上に該当する場合に支給されます。
保険料納付要件とは
初診日の前日において以下の1または2を満たしている必要があります。
- 初診日の属する月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がないこと
※20歳前に初診日がある場合は、保険料納付要件は問われません。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、
初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
双極性障害の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
上記のように、初診日によって確認する要件や受給できる等級が違います。
初診日が特定できない場合は、請求そのものをすることができないケースもあります。
まずは初診日の特定から始められてはいかがでしょうか、とお話ししました。
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障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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