徳島市在住、PTSDからうつ病を発症された方からのご相談
阿部 久美のブログ

今日は徳島市にお住いの男性からお問い合わせをいただきました。
この男性は現在30歳とのことですが、今の会社に入社した直後の23歳の時、社内でひどいパワハラを受け、PTSDを発症しました。
半年ほど休職した後無職となり、今もひきこもりの状態が続いています。現在の診断はうつで、実家でご両親と一緒にお住まいです。
ご自分でもネットなどで少し調べられたそうですが「PTSDを発症した時は厚生年金を納めていたが、PTSDは障害年金の対象外なので申請ができない、うつ病と診断されたときは国民年金だったが、保険料が未納なのでうつ病でも申請できないのではないか」と思われご相談に至られたとのことです。
ご質問内容にあるように、PTSD(外傷後ストレス障害)などの神経症にあっては、原則として障害年金の対象となりません。
しかし、PTSD(外傷後ストレス障害)と診断されていた後にうつ病を発症するケースについては、そのほとんどが診断名の変更であり、あらたな疾病が発症したものではないことから別疾病とせず、「同一疾病」として扱われます。
つまり、うつ病の初診日は、PTSD(外傷後ストレス障害)と同じ日になります。
PTSD(外傷後ストレス障害)の初診日の時点で厚生年金に加入し、保険料納付要件を満たしている場合は、障害厚生年金の申請が可能となります。
神経症の障害年金での取り扱いについて
神経症にあっては、その症状が長時間持続し、一見重症なものであっても、原則として、認定の対象とはなりません。
「神経症にあっては原則として認定対象とならない」とは、その傷病による障害については、それがどのようなものであっても、その状態をもって、障害等級に該当する程度以上の障害の状態にあたるものとはしない、との趣旨と解されています。
神経症でも生きずらさは勿論、生命に危険が及ぶこともあり、かつ難治のケースも多いことから、誠に矛盾だとは思うのですが、神経症については、原則として認定の対象とされていないのが現状です。
しかし、最近の調査では、強迫性障害では67%、パニック障害では50〜65%、PTSDでは48%の割合でうつ病が併存していることや適応障害の場合には、診断後5年後には40%の人がうつ病等の診断名に変更されていることが明らかになってきました。
この男性の場合も当初からうつ病が併存していた可能性も考えられます。
いずれにせよ、現在はうつ病との診断であり、上述の通りPTSDと判断された日が初診日で、この日には厚生年金に加入していたとなれば、障害厚生年金の請求が可能です。
以下の認定基準等をを参考にしていただき、一日も早い申請をお勧めしました。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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