徳島市在住、5年前にくも膜下出血を発症後高次脳機能障害と診断された方からのお問い合わせ。
阿部 久美のブログ

今日は徳島市にお住まいで、5年前にくも膜下出血を発症後高次脳機能障害と診断された方からお問い合わせを頂きました。
ご相談者様は50歳の時にくも膜下出血を起こされましたが、幸い体の麻痺はほとんど残らなかったそうです。
ところが5年ほど経過した後の最近、物忘れがひどく、2〜3日前に話したことも忘れているとのことです。
他にも、夏なのにジャンパーを着たり、お金も後先を考えずに財布にあるだけ使ってしまうとのことです。
「このことを神経内科の主治医に伝えたところ、高次脳機能障害と診断されました。この場合、障害厚生年金の申請ができるのでしょうか。それとも診断されたまもないため、1年6か月待たないといけないのでしょうか。」とお問い合わせです。
ご質問内容から、1年6か月待たなくても障害厚生年金の申請は可能でしょう。
障害年金は、障害認定日が到来すれば申請が可能となります。
障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月経過した日ですが、脳血管疾患の障害認定日については、次の通りです。
脳血管疾患の障害認定日とは
脳血管疾患の障害認定日は、
- 初診日から6か月経過後の症状固定日
- 初診日から1年6か月を経過した日
のいずれか早い方の日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
※ただし、知的障害の場合は、出生日が初診日となります。
ご相談者様の場合、5年前のくも膜下出血が原因なのであれば、その時に初めて医療機関を受診した日が初診日になります。
すでに障害認定日は到来しているため、現時点で申請が可能です。
初診日の時点で厚生年金に加入している場合は、障害厚生年金の申請が可能となります。
障害厚生年金か障害基礎年金か
障害厚生年金を受給できるか、障害基礎年金の受給となるかは、初診日に加入していた年金制度によって決まります。
- 初診日が厚生年金被保険者期間中にある場合は、障害厚生年金
- 初診日が国民年金被保険者期間中にある場合は、障害基礎年金
- 初診日が20歳前または60歳以上65歳未満(国内に住んでいる方のみ)の年金未加入期間にある場合は、障害基礎年金
障害基礎年金と障害厚生年金の障害等級について
- 障害基礎年金…1級および2級
- 障害厚生年金…1級、2級および3級
※症状の重さによって等級が分けられています。
※3級が最も症状が軽く、2級、1級になるにつれて症状が重く、また受給額も多くなります。
ご相談者様の場合、物忘れがひどく、日常生活にも支障をきたしているようですので、障害厚生年金が受給できる可能性が考えられます。
次の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか。
高次脳機能障害の認定基準
【1級】
- 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
【2級】
- 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
【3級】
- 認知障害、人格変化は著しくないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
- 認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの
※高次脳機能障害とは、脳損傷に起因する認知障害全般を指し、日常生活または社会生活に制約があるものが認定の対象となります。
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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