徳島市在住、高校時代の心療内科受診後7年間受診なく、大学生活、就職生活を送れた場合の初診日
阿部 久美のブログ

今日は徳島市在住の男性から、9年前、高校生の時の心療内科受診ではなく、2年前の受診再開日を初診日として、障害年金を申請することはできないでしょうか、というお問い合わせをいただきました。
この男性は9年前、高校3年生の時に適応障害のため3か月だけ精神科を受診しましたが、完治したと思い、通院をやめ、それから大学を卒業し一般企業に入社し、勤務しておられました。
大学時代にはバドミントンの同好会に所属し副主将を務められ、就職後も入社早々営業で好成績を収められ表彰を受けるなど元気に活躍しておられましたが、2年前から不眠、倦怠感、気分の落ち込みが生じ、うつ病と診断され、現在は休職しておられます。
年金事務所で障害年金の相談をすると、9年前が初診日になり、20歳前傷病による障害基礎年金の請求しかできないと言われたそうです。
2年前が初診日なら、それまで社会保険に加入しており、厚生年金での請求が可能なのではと思われ、ご相談いただきました。
ご質問内容から、通院を停止してから大学時代の4年間と入社後の3年間は、通院も服薬もせず、通常の日常生活を送ってこられたとのことですので、社会的治癒を主張し、2年前を初診日として申請できる可能性が考えられます。
社会的治癒とは
社会的治癒とは、医療を行う必要がなくなり社会復帰して、無症状で医療を受けることなく相当期間(傷病にもよりますが、約5年程度)経過している場合に、前の傷病と後の傷病を分けて取り扱う考え方です。
以前に受診していたが、社会的に治癒しているため、後で受診した医療機関を初診日として主張することが社会的治癒の主張です。
この社会的治癒については、請求する側が主張し、保険者が認めるか否かを判断し、その判断基準も明示されていない為、必ずしも認められるとは限りません。
社会的治癒を主張して申請をすることは可能ですが、それが認められるかについては、保険者の判断によります。
とは言え2年前に入院するまでは、元気に大学生活を送り入社後も社会保険に加入し活躍してきたとのことですので、社会的治癒を主張し、2年前を初診日として申請をご検討されてはいかがでしょうか。
なお、うつ病の認定基準並びに認定の流れは、以下の通りです。
うつ病の認定基準
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
精神の障害で審査される主な項目について
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
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