徳島市在住、関節リウマチの女性から遡り請求についてのお問い合わせ
阿部 久美のブログ

今日は、徳島市にお住まいで関節リウマチと診断を受けておられる女性からお問い合わせをいただきました。
この女性は5年くらい前から手足の痛みがあったそうですが、ストレスや疲れのせいだと思い受診はしなかったそうです。
ところが痛みがひどくなり、3年前に整形外科を受診し、関節リウマチと診断されました。
最近担当医から障害年金というものがあることを聞き、役所に詳しく聞きに行くと、5年前にさかのぼって請求できると教えてもらったそうです。
この女性はずっと専業主婦なのですが、5年前にさかのぼって障害年金がもらえるのでしょうか、というお問い合わせです。
さかのぼって認定された場合は、5年前ではなく、「障害認定日」にさかのぼって支給されることになります。
さかのぼって請求することを遡及請求といいますが、これは5年前にさかのぼるのではありません。
「障害認定日」にさかのぼって請求するもので、認められた場合は、「障害認定日」の時点から支給されることになります。
ただし、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅します。
障害認定日が5年以上前にある場合は、一部の年金が時効消滅します。
実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
遡及請求とは
遡及請求とは、障害認定日に障害等級に該当しているが、知らなかったなどの理由で、障害認定日から1年以上経過して請求するものです。
障害認定日から3か月以内の診断書を取得することができれば、遡及請求を行うことができます。
障害認定日とは
障害の程度の認定を行うべき日をいい、原則として、
- 「初診日」から起算して1年6月を経過した日
- 傷病が治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
のいずれか早い日となります。
初診日とは
障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日をいいます。
具体的には次のような場合が初診日とされます。
- 初めて診療を受けた日(治療行為又は療養に関する指示があった日)
- 同一の傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 過去の傷病が治癒し同一傷病で再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日が対象傷病の初診日
この方の場合、関節リウマチの初診日は3年前になると考えられます。
障害認定日は、初診日から1年6か月経過した日ですので、遡及請求が認められた場合は、今から約1年6か月前にさかのぼって支給されることになるでしょう。
ご質問内容からは具体的な障害の状態がわかりかねますが、次の認定基準を参考にしていただき、申請をご検討されてはいかがでしょうか、とお話ししました。
関節リウマチによる障害の程度の認定
関節リウマチによる障害の程度は、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定されます。
リウマチの症状が四肢に及ぶ場合の認定基準
リウマチの症状が四肢に及ぶ場合の1級、2級に該当する障害の状態は以下の通りです。
- 1級…四肢の機能に相当程度の障害を残すもの…日常生活における動作の多くが「一人で全くできない場合」又は日常生活における動作のほとんどが「一人でできるが非常に不自由な場合」
- 2級…四肢に機能障害を残すもの…日常生活における動作の一部が「一人で全くできない場合」又はほとんどが「一人でできてもやや不自由な場合」
※日常生活における動作と身体機能との関連は、厳密に区別することはできませんが、おおむね次の通りとされています。
【手指の機能】
- つまむ(新聞紙が引き抜けない程度)
- 握る(丸めた週刊誌が引き抜けない程度)
- タオルを絞る(水を切れる程度)
- ひもを結ぶ
【上肢の機能】
- さじで食事をする
- 顔を洗う(顔に手のひらをつける)
- 用便の処置をする(ズボンの前のところに手をやる)
- 用便の処置をする(尻のところに手をやる)
- 上衣の着脱(かぶりシャツを着て脱ぐ)
- 上衣の着脱(ワイシャツを着てボタンをとめる)
【下肢の機能】
- 片足で立つ
- 歩く(屋内)
- 歩く(屋外)
- 立ち上がる
- 階段を上る
- 階段を下りる
ただし、リウマチの疼痛については、認定対象とされていません。
疼痛について
疼痛は、原則として認定の対象となりません。
ただし、次の1〜4等の場合は、発作の頻度、強さ、持続時間、疼痛の原因となる他覚所見等により、以下の通りに取り扱います。
- 四肢その他の神経の損傷によって生じる灼熱痛
- 脳神経及び脊髄神経の外傷その他の原因による神経痛
- 根性疼痛
- 悪性新生物に随伴する疼痛等
- 3級…軽易な労働以外の労働に常に支障がある程度のもの
- 障害手当金…一般的な労働能力は残存しているが、疼痛により時には労働に従事することができなくなり、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの
ご相談者様の場合、障害基礎年金の請求になりますので2級以上に認定されなければ年金受給には結び付きません。その為、症状が疼痛のみ場合は受給が難しいものと思われます。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
どんなご相談でも承ります。お気軽にお問合せください。
お電話でも承ります
090-5146-8064
平日9時~18時