多発性硬化症で障害認定日3級の男性から額改定請求のご相談
阿部 久美のブログ

今日は、私が請求をサポートさせていただき、障害認定日付で3級の厚生年金障害給付が決定した男性から、2級への等級アップ申請(額改定請求)ができないかというご相談をいただきました。
この男性の初診日は平成16年4月であり障害認定日は平成17年10月、これより3月以内の平成17年12月の診断日の診断書を作成して頂き、障害認定日請求を提出しました。と同時に障害認定日より1年以上経過しているため、平成31年4月の診断日の診断書も作成頂き、本年6月に認定日請求と事後重症の請求を併せて提出しました。
裁定結果は上述の通り、障害認定日時点で3級で現在も3級のままというものでした。
このような場合、2級を目指すにはどのような方法があるでしょうか?
まず第1に、障害認定日での3級の裁定結果に対する審査請求が挙げられます。認められれば障害認定日に遡って2級となり、5年分の差額が一括支給されたうえで今後は2級の年金が支給されますが、先に提出した診断書の評価についての争いになるため成功する確率はとても低いのが実情です。
第2に障害認定日の3級は認めるとして、請求時現症(平成31年4月)の3級決定に対して審査請求を起こすことが頭に浮かぶのですが、これは制度的にできません。というのは、障害認定日時点で3級になったこの男性について、請求日時点でも3級としたということは、年金機構としては請求日時点では「請求人の障害の状態は障害認定日と同様に3級相当である」という確認行為を行ったのみであり、何らの処分も行っていないと解されるためです。
審査請求は何らかの処分が行われた時に、その処分に対して異議申し立てをする行為ですから、そもそも処分がなければ成り立たないとされるのです。
このような場合にも審査請求を可能にするためには、裁定請求提出時に額改定請求書を同時に提出しておくという方法が認められています。額改定請求が出ていれば、例え障害認定時も請求時も3級と言う判断を下すにしても、請求時の3級の判断は確認行為ではなく、額改定請求を認めないという処分行為になるからです。
ところがこのケースでは、裁定請求時に額改定請求書を同時提出することができませんでした。というのは上記の通り請求日時点の診断書の診察日は平成31年4月、提出は同年6月でその間に1か月以上の隔たりがあったからです。今年の7月までは、額改定請求には提出前1か月以内に診察日のある診断書を添えることになっていたのです。ただ、この規定は今年8月から「提出前1ヵ月以内→3か月以内」に変更されています。
第3は、もう一度診断書を取り直し、2級への等級アップ申請(額改定請求書)とともに提出する方法です。
額改定には前回の決定から1年以上経過していることが必要ですが、今までも見てきた通り平成31年6月の請求時には何の決定も行われておらず、ただ確認行為があっただけであり、3級の年金の権利発生は平成16年10月の障害認定日ですから、とうに1年は経過していることになります。
新しい診断書には、前回の診断書には盛り込めなかった症状や、前回の診断書作成以降に生じた症状等も全て盛り込むことが可能です。この男性からは前回の診断書で十分表現できていないと思われる障害の状態や新たに生じた不都合を細かくお聞きし、診断書作成医宛の書面を作成しました。
それを持参し診断を受けていただき、最新の障害の状態を正確に反映した診断書によって、額改定請求を提出したいとお話ししています。
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