人工骨頭置換術施行日に遡って厚生年金障害給付3級が決定
阿部 久美のブログ

今日は私が請求をサポートさせていただいている男性から、人工骨頭置換術を施行した日に遡って3級の厚生年金障害給付の決定があったとのご連絡をいただきました。
人工骨頭置換や人工関節置換は厚生年金障害給付3級に認定されるとされています。
ですから初診日に厚生年金に加入しており、初診日の前日において納付要件を満たしていれば3級の受給権が得られます。
ただし、さかのぼってもらうことについては、できる場合とできない場合があります。
さかのぼって受給するためには、次の要件を満たす必要があります。
- 「障害認定日」時点の診断書が取得できる
- 「障害認定日」の時点で障害の状態が3級以上に相当する
人工骨頭(関節)をそう入置換したものの障害認定日とは
障害認定日とは、障害の程度の認定を行うべき日をいい、
- 初診日から起算して1年6月を経過した日
- 人工骨頭(関節)をそう入置換した日
のいずれか早い日となります。
例えば、事故等で右足を負傷し、その日から1年6か月を経過する前に人工骨頭置換となった場合は、人工骨頭置換となった日が障害認定日になります。
その時点の診断書を取得することができれば、さかのぼって受給することが可能となります。
今回のケースがそうでした。自転車による転倒事故で大腿骨骨頭を骨折し、1週間後には人工骨頭置換の手術をされました。その為、手術施行日が障害認定日になり、その日の診断書を取得し、人工骨頭置換の事実が記載されていたために、手術施行日に遡って厚生年金障害給付3級の受給権を得ることができました。
一方、変形性股関節症等で痛みに長期間耐えながら生活し、初診日から1年6月を経過した後で人工股関節置換術を受けられたような場合は、障害認定日時点(初診日から1年6月を経過した日)では人工股関節となっていませんので、以下の認定基準により審査されます。
以下に該当するようであれば受給の可能性が考えられます。
障害年金の一下肢の機能障害の認定基準
【2級】
- 一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が全く用を廃したもの
具体的には、一下肢の3大関節中いずれか2関節以上の関節が、
- 不良肢位で強直しているもの
- 関節の他動可動域が、健側の他動可動域の2分の1以下に制限され、かつ、筋力が半減しているもの
- 筋力が著減または消失しているもの
のいずれかに該当する程度のものをいいます。
【3級】
- 一下肢の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
具体的には、関節の他動可動域が健側の他動可動域に2分の1以下に制限されたもの又はこれと同程度の障害を残すもの…例えば、起床から就寝まで固定装具を必要とする程度の動揺関節をいいいます。
- 一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの…例えば、一下肢の3大関節中1関節が不良肢位で強直しているもの
ただし、年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年を経過すると時効消滅するため、さかのぼって認定が得られたとしても、実際に支給を受けることが出来るのは、時効消滅していない直近の5年分となります。
良くある、そして気持ちはわかる意見として、「障害認定日には人工骨頭(関節)置換しておらず、その後置換したが既にそれから3年経過してしまったので、人工骨頭(関節)置換した3年前に遡って請求したいのだが」があります。
残念ながら、そういう制度はありません。今後の年金を請求し受給することは可能ですが、置換した3年前に遡って、そこからの年金を請求するという制度は存在しないのです。
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