ステロイド服薬の影響による精神障害について
阿部 久美のブログ

今日は多発性硬化症の治療の為にステロイドを大量に服薬したことでうつ病(薬剤惹起性うつ病)を発症された女性から、障害年金の請求について相談をいただきました。
多発性硬化症の症状は、障害年金を請求するほどの障害ではないが、うつ病の症状の方がきついため、こちらで請求できないだろうかとのことです。
この女性は、精神科のかかりつけ医から「ステロイド服薬を原因として発症した精神障害は障害年金の対象とならない」と言われたとのことで、それが事実かどうかとの相談がありました。
「そんなことはない」旨お答えしました。障害年金に先立って健康保険手帳請求用の診断書を取得し申請されそちらは2級が認められたとのことです。
精神の障害用の診断書も作成していただきで障害年金についても申請してみることを強くお勧めしました。
障害者手帳と障害年金は全く別の制度であり、手帳が2級だからといって障害年金も連動して2級になるというものではありません。
障害年金専用の診断書を作成してもらい申請する必要があり提出先も審査機関も別です。
とはいえ、その症状や日常生活状況についてはよく似た視点から審査されますので、障害年金でも2級となる可能性はあります。
うつ病の場合以下の基準などで審査されます。
【うつ病の認定基準】
- 1級…高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
- 2級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したりまたは頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
- 3級…気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したりまたは繰り返し、労働に制限を受けるもの
【精神の障害で審査される主な項目について】
日常生活動作、即ち、
- 適切な食事
- 身辺の清潔保持
- 金銭管理と買い物
- 通院と服薬
- 他人との意思伝達及び人間関係
- 身辺の安全保持及び危機対応
- 社会性
の7つの項目についてそれぞれ4段階で評価しその平均と総合評価(日常生活能力の程度)の組み合わせで目安が立てられます。
上記を目安に働けているかどうかや生活環境(一人暮らしができているか)等を考慮して、総合的に判定されます。
一般企業で働いている場合(障害者雇用制度による就労を含む)でも仕事の内容が、管理者や指導員の常時の見守りの下での単純かつ反復的な作業であり、他の従業員との意思疎通が困難で、状況にそぐわない行動がある時は、働いていることをもって日常生活能力が向上したとは見ません。
また、一人で生活している場合であっても親兄弟や生活指導員などが頻繁に訪問し、サポートしている場合には一人暮らしができているとは見なしません。
医師に状況を伝えることが大切です。
上記日常生活の状況(何ができて何ができないのか)や就労状況、一人暮らしの場合は受けているサポートを、診断書作成医にしっかり伝え、診断書の評価に反映してもらうことが大切です。
必要に応じて職場の上司や管理者、肉親や支援員の方に状況を説明する書面の作成をお願いし参考資料として提出する場合もあります。
お気軽にお問合せください。
障害年金は国の施しではありません。国民の権利です。
煩雑な手続きを代行し、権利を行使するお手伝いをしっかりさせていただきます。
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