かつて私が請求をサポートさせていただき、現在2級の障害基礎年金を受給されている方のケースです。
経緯を略記します。
・風邪により高熱を発し、足に点々と内出血ができたため近医を受診。○○大学付属市民病院を経て○○大学医学部付属病院にいずれも病院の救急車で緊急搬送される。
・急性リンパ性白血病との診断を受け治療開始。
・24Gyの頭部放射線照射治療を受ける。
・上記放射線治療の影響で右鼓膜が破れていたことを後になって知らされる。右鼓膜は今も破れたままであり、聴覚は左のみである。
・昭和55年11月28日○○児童相談所で実施した発達検査の結果はDQ116であった。
・介護事業所に勤務するも長続きせず、様々な事業所を転々とする。
・同じ職場で長く続けられない原因が本人には分からず、常に自分は悪くないと責任を他者に転嫁していた。
・平成22年5月12日、放射線照射に伴う晩期障害を疑い、最初に治療を受けた○○大学医学部付属病院を受診し知的障害との診断を受ける。
・療育手帳を申請するために県の知的障害者更生相談所で測定したところDQ(新版K式)は50であった。平成23年7月25日、療育手帳B(1)を取得。
・平成28年4月知的障害で障害基礎年金2級受給開始。期間は3年。
・平成31年6月第1回の更新。療育手帳は更新不要になっていることもあり、診断書作成医に対し備考欄に「永久認定が必要」と記載してもらい、母の名前で経緯と永久認定を望む旨を記した書面を添付し返送。
・6か月近くが経過した12月に2級での更新と次期診断書提出月は3年後である旨の文書が送付される。
・急性リンパ性白血病の幼児への放射線照射は、晩期障害が発生することが明らかになっているため、現在は一切行われていない。
結局永久認定は認められなかったわけです。皆さんどう思われますか?
当時は国が認めていた医療行為によって、IQが半分以下になったのです。この医療行為によってこのような晩発障害が発生することが広く知れ渡った、即ち、他にも多くの同様の患者が出たためにこの医療行為は禁止されたのです。
ご本人には何の責任もありません。残念ながら、回復も望めないでしょう。お母様は「同じ時期に同じ治療を受けていた人が必ずいて、同様の障害が出ているはずだから、その人たちが集まって訴えを起こしたい」とお考えです。全く同感ですが、これには時間がかかります。
あまりに特殊なケースであるため、最初に請求する際には当時の経緯を知る医師を懸命に探し、遠方にもかかわらずその医師を訪ねて診断書を作成していただきました。
今回の更新に際しても同様、遠路を通われました。3年後の更新の時にこの医師やお母様はお元気でおられるでしょうか?次回の更新も有期認定となった場合には、その更新の時にはこの医師やお母様は元気でおられるでしょうか?
この経緯を考えた時、永久認定とするのが当然だとは思われませんか?ところが厚生労働省は恬としてこの事情を汲むことなく再び3年の有期認定としました。そして永久か有期か、そして有期の場合の期間については異議申し立て(審査請求)の対象にもしていません。
憤懣やるかたないとはこのことです。
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